2001年 第21回ユニバーシアード・北京(中国)大会
College Soccer Central


予選リーグ第3戦 日本−アイルランド 試合レポート、監督・選手コメント



試合レポート
 
結果詳細・戦評


アイルランド戦吉村  対チェコ戦、対イラン戦とすでに2勝を挙げ、引き分けでも予選リーグ突破の決まる日本。若干の余裕を持って戦える状況にあったが、相手のアイルランドがカウンター攻撃主体ということもあり、「相手にスペースを与えないように、少し引き気味に守る」(瀧井監督)作戦でスタートした。しかし、いざ試合が始まってみると、アイルランドはそれまでの3バックから4バックに変更し、ボールをきっちりつなぐサッカーを展開。対応の遅れた日本は、中盤とDFラインの間に若干の混乱が生まれ、アイルランドに押され気味の時間帯が続いた。日本もすぐに戦術の修正をかけ、攻撃に転じるももの中盤でパスカットされ、思ったような攻撃の形が作れない。
 そんな状況を救ったのが、中盤から積極的に攻撃に参加したボランチの2人だ。14分、吉村からのパスを受けた堀之内が、ペナルティエリアの中で胸トラップしてボールをキープ。背後にDFを背負いながらも強引にシュートを放ち待望の先制点を挙げた。さらに、その1分後には右サイドの平川からパスを受けた山根がドリブルでDFひとりを抜き、そのままシュート。立て続けに得たこの2点で勢い乗った日本は、集中力が切れ、中盤のプレスが甘くなったアイルランドの隙をつき、攻撃に多くの時間を割くようになる。26分には右からボールを持ち込んだ羽生が、ペナルティエリアすぐ外から思いきりのいいシュート。一度ポストにはじかれたボールを再び羽生が拾い3−0とリードを広げた。 その後、日本は細かなミスが目立ちはじめ試合は再び膠着状態に。37分には、相手選手との接触プレーで右ひざをいためたFW松浦に代えて、白尾を投入。交代直後から積極的にゴールを狙う白尾は、早速1分後には吉村のパスを受けてシュート。このシュートはGKに阻まれるものの、38分に堀之内のパスを受け、交代早々試合を決定付ける4点目を挙げた。 アイルランド戦山根  ハーフタイムにボランチ吉村を左サイドハーフの石川に交代した日本は、システムを堀之内のワンボランチにし、石川を左、山根をトップ下に挙げてさらに攻撃的なシステムで後半に挑む。その影響もあってか、後半開始早々47分、中盤の堀之内からパスを受けた巻が右サイドをドリブルで突破。GKの出てくるタイミングを冷静に見てゴール左隅にシュート。「もう4点取っていて、余裕があったからああいうゴールを決められた」(巻)という、今までの巻とは一線を画したゴールで日本は大量5点の決定的なアドバンテージを得ることになった。
 しかし、5失点を喫したアイルランドはここから猛攻を開始。全体的に前がかりになっていた日本の隙をつくように、ロングボールとサイドからの攻撃を効果的に利用して日本のゴールに迫る。後半55分には左サイドを突破しようとしたアイルランド選手に対して、藤倉がペナルティエリア内でファウルをおかしPKを与えてしまう。これを(12)Devine Conorが冷静に決めて1点を返すものの、日本優位は変わらず。後半62分にはアイルランドも選手2人を一気に代えて最後のチャンスにかけ、ゲームを押し始めるが日本の中盤とDFラインが冷静に対処。後半64分にはGK高原を杉山に代える余裕すら見せた。さらにカウンターから追加点を狙う日本は、79分に巻がペナルティエリアの左外から豪華なミドル。しかし、これはアイルランドGKの好守で惜しくもバーにあたりゴールならず。途中混乱や集中切れから起こるミスもあったものの、5−1の大勝で日本が予選リーグ1位突破を決めた。

(写真右上=堀之内の先制点を好アシストした吉村)
(写真左下=中盤での攻撃に貢献し2点目を挙げた山根)

コメント


■日本代表 瀧井敏郎 監督

アイルランド戦瀧井監督  アイルランドは、カウンターで蹴ってきて(19)のMooney Damienがオープンスペースに切れこんでいくということがわかっていたので、相手にスペースを与えないということを考えて試合に挑んだ。今までの試合では相手の3バックの間で結構ボールを回していたし、我々がひいて蹴ってきたところにアプローチにいくという予定だった。
 しかし、試合が始まってみると4バックだったし我々が思っていたよりパスをつないできたし、勝負に出てきたので通常の形に戻した。
 後半の石川と吉村の交代に関しては、これまでの試合で石川と使っていなかったので、彼のクロスが生きる場面を作りたいと思っていたので後半頭から出した。ただ、芝の状態も悪かったし全体的にやわらかかったのでもうひとつ彼のいいところは出なかったのが残念。
 トップについては、太田が怪我をして本調子じゃないということもあるし、巻が総理大臣杯のときの勢いを持っているので巻をスタメンで使っている。そういう意味では(総理大臣杯で調子のいい)巻と深井の駒大コンビには期待もしているのだが、深井がこれまでの試合でダメージを受けているので今日は温存した。坪井もそうだが、こちらの審判はほとんどファウルを取らないので……。  3試合を終えて、プレッシングサッカーの質というものが気になっているが、苦しい試合だったチェコ戦でも、チェコは我々以上の苦しかった(ので効果はある)と思う。我々も怪我でダメージを受けている部分はあるが、ボールを早く回すということを心がけて挑みたいと思う。

■日本代表 平川忠亮 主将

アイルランド戦平川  今日は勝ち点1を取ればよかったし、アイルランドがカウンター気味にくるということだったので、ひいて守って相手の攻撃を遅くしてかわす予定だった。そのため、いつもより守備ラインを下げたが、それがうまくいかずに前半すぐに修正した。最初は、攻撃もこちらもカウンター気味にして相手の後ろからの長いボールを切ろうということでうまくいってなかったが、元の高い位置からの攻撃ができるようになって、うまく回るようになったと思う。
 後半は、確かに疲れもあって集中力が途切れた部分もあったと思うが、前半と同じように行くようにした。
 予選突破はできると思っていたので、あとはどういう内容かということだと思っていた。決勝に行くにあたって、もう一度締めなおさないといけないとは思う。
 チームの雰囲気はすごくいいので、自分もキャプテンとして特に心がけてることなんかはない。全員がものすごく盛り上げてくれている。


■日本代表 巻誠一郎 選手

アイルランド戦巻  (本大会ギリギリに)新しく入って、信頼してもらって試合に出させてもらって、それで結果を残すことができて本当にうれしい。  試合に関しては、最初チームが全体的にひいていく戦術だったので、自分もボールをもらう位置がひいてしまっていたと思う。ラインがあがってきてからは、徐々に自分もあがっていけた。  外国の選手は当たりも強いし、体を入れるところでキッチリ入れてくる。(連続の出場で)疲労も大きいけど、試合に出たら必ず結果を出せるようにしたいと思っている。

Text/Photo:Reiko Iijima

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