2001年 ユニバーシアード・北京(中国)大会
College Soccer Central


決勝トーナメント 試合結果詳細 (日本のみ)



■準々決勝■

 2001年8月27日(月)19:30 於:北京工人体育場 観衆:−人


 ☆日本代表  1(0−0)1 イギリス代表
         (1−1)
      PK戦(7−6)
   得点者)60分【日 本】山根伸泉
       76分【イギリス】Luke Anderson

  《PK戦》
   【日  本】10○ 7○ 5○ 11○ 2○ 6○ 15○
   【イギリス】3○ 11○ 16○ 17○ 5○ 7○ 15×

 出場メンバー (日本側のみ)


   GK:高原寿康
   DF:坪井慶介、小林宏之、藤倉 寛
   MF:堀之内聖、平川忠亮、三上卓哉、羽生直剛、山根伸泉
   FW:巻誠一郎(→67分 深井正樹)、太田恵介

 【サブ】
   GK:杉山 哲
   MF:藤田芳正、石川竜也、吉村圭司
   FW:深井正樹、松浦宏治、白尾秀人

 戦評・システム


イギリス戦システム  この試合の前に地元中国チームが準決勝進出を決めたということもあり、約40000人が興奮する異様なムードに包まれてゲームが始まった。チームの平均身長は日本よりはるかに大型で、身長190センチ台の2トップの高さを生かしパワフルなまさにイングランドスタイルのサッカーで勝ち進んできたイギリスに対し、日本は3−5−2のシステムで最終ラインを高めに押し上げ、ロングボールを蹴らせないプレッシングサッカーを徹底するシステムをとった。さらに高さを生かしロングスロー、FK、CKでゴール前の空中戦を狙うイギリスの戦法に対しては、スカウティング・グループのビデオ分析を基にしっかりとした対抗策を持って試合に臨んだ。しかし前半開始からイギリスが5バック、1トップの守備的布陣で日本の攻撃を警戒し、予想に反して深く引いて自陣のスペースを埋める作戦に変更してきた。そのため日本も前半15分で(15)藤倉をMFボランチに上げて従来の4−4−2システムに変更し、(10)山根、(7)羽生にボールを集め、相手DFラインの手前にあるスペースからショートパスで崩す攻撃を狙った。前半30分、(6)堀之内のミドルシュートがクロスバーをたたく絶好機のほかは、超守備的なイギリス守備陣の壁を崩せず、0対0のまま前半を終了した。
 後半15分、右サイドでスローインを受けた(10)山根がゴール前に送ったクロスボールが相手DFに当たってコースが変わり、GKの頭上を越えてそのままゴールへ流れ込むラッキーな得点により、あっけなく先制点を挙げ、日本がリードした。その直後からイギリスはFWを2トップにして攻撃的に前へ出てきた。後半31分FKから長身FW(15)アンダートンの打点の高いヘディングシュートをきれいに決められ、試合終盤で同点となった。しかし日本もあわてることなく、(13)巻に代えて投入していたスピードある(11)深井が前へ出てきたイギリスDFラインの背後を突き、何度もシュートチャンスを作り出した。結局、追加点を奪えず引き分けのままPK戦に突入した。
 PK戦では、6人目まで両チームとも全員決め、イギリスの7人目のPKがポストに当たり、7−6で制し、日本チームが大きな山場の準々決勝に勝利した。
 予想外の試合展開となったが、相手の出方を見ながら冷静に戦い、高さのある相手の攻撃を(9)太田、(13)巻、(4)坪井を中心にチーム全員が一丸となって撥ね返した粘り強い守備が勝利を呼び込んだと言える。これまでの豊富な海外経験を随所に生かし、勝負強さが身についてきたことを実感できるゲームであった。
文責・乾 真寛(全日本大学選抜コーチ)

■準決勝■

 2001年8月29日(水)16:00 於:海淀スタジアム 観衆:10000人


 ☆日本代表  1(1−0)0 韓国代表
         (0−0)
   得点者)38分【日 本】堀之内聖 (アシスト・坪井慶介、山根伸泉)

 出場メンバー (日本側のみ)


   GK:高原寿康
   DF:平川忠亮、坪井慶介、小林宏之、三上卓哉
   MF:堀之内聖、吉村圭司、羽生直剛、山根伸泉
   FW:太田恵介、深井正樹(→HT 巻誠一郎)

【サブ】
   GK:杉山 哲
   MF:藤田芳正、石川竜也、藤倉 寛
   FW:巻誠一郎、松浦宏治、白尾秀人

 戦評・システム


韓国戦システム  デンソーカップ(4月・横浜:2−0)、東アジア競技大会(5月・大阪:1−1(PK4−3))に続いて、今年3回目となる日韓決戦は、メダルをかけた激しい闘いとなった。試合開始から約30分間、韓国は日本陣へのロングボールと左右MFのドリブル突破を軸に一方的な攻勢に出てきた。日本DF陣のラインコントロールに対しても、2列目からMFが飛び出しを狙い、ルーズボールへの出足でも日本を圧倒した。韓国は右サイドMF(9)NO BYUNG JUNのドリブル突破力や左DF(2)HYUN YUNG MINの効果的な攻撃参加から再三再四決定機を作り出したが、シュートがGK(1)高原の正面をついたり、日本DFの体を張ったタックルに阻まれゴールを奪うことができない展開が続いた。
 一方日本は、韓国の激しいプレッシャーを受け、中盤でのパスが繋げず、前線の(9)太田、(11)深井へロングボールを蹴り込むだけで、MF(10)山根、(7)羽生がうまく攻撃に絡めない苦しい戦いが続いた。その後韓国の猛攻がややペースダウンしてきた30分過ぎから、ようやく日本MF陣の素早いパスワークが見られるようになってきた。そして前半38分、(10)山根のCKをニアサイドで(4)坪井が後方へ送り、(6)堀之内がヘディングで押し込み待望の先制点を奪った。苦しい展開の中でつかんだワンチャンスを見事にものにした値千金のゴールで日本は1−0とリードして前半を終了した。
 後半、韓国は190センチ台の長身FW(10)JUNG SUNG HUNにクロスボールを集め、パワーサッカーで日本ゴール前に迫力ある攻撃を繰り返してきた。後半から入った(8)YUN YONG GOOの右サイドドリブル突破から決定的なクロスボールを送られ、日本はピンチの連続で守勢一方となった。しかし準々決勝イギリス戦に続いて全員が一丸となり、体を張った粘り強いディフェンスで守り抜き、最後までゴールを許さなかった。
 大学卒のプロ選手6名を含み、東アジア競技大会のメンバーより更に強化されてきた韓国チームは、レベルの高い攻撃力を持ち、実力的には日本を明らかに上回っていたが、高い集中力で最後まで粘り抜いた日本が一瞬のスキをうまく突き、勝負強くかつしたたかに戦い、今年3回目の日韓戦で3連勝をすることができた。
文責・乾 真寛(全日本大学選抜コーチ)

■決勝■

 2001年8月31日(水)20:00 於:北京工人体育場 観衆:20000人


 ☆日本代表  1(1−0)0 ウクライナ代表
         (0−0)
   得点者)12分【日 本】羽生直剛 (アシスト・吉村圭司)

 出場メンバー (日本側のみ)


   GK:高原寿康
   DF:平川忠亮、坪井慶介、小林宏之、三上卓哉
   MF:堀之内聖、吉村圭司(→75分 巻誠一郎)、羽生直剛、山根伸泉
   FW:太田恵介、深井正樹(→62分 藤倉 寛)

【サブ】
   GK:杉山 哲
   MF:藤田芳正、石川竜也、藤倉 寛
   FW:巻誠一郎、松浦宏治、白尾秀人

 戦評・システム


ウクライナ戦システム  全員がプロ選手で構成され、開催国優勝を目指していた中国を準決勝で倒し、決勝へ進出してきたウクライナは、大会初戦の韓国に0−2で敗れた後の4試合を全て1−0で勝ち進む堅実な戦い方を得意とし、深いリベロを置いたマンツーマンディフェンスによる守備的布陣からリアクションで攻め返すスタイルを貫いてきたチームである。試合はウクライナが前半から予想通りマンマークで日本のツートップの太田、深井を注意深くマークする守備的な戦術で始まった。日本は逆にマンマークの相手を利用するために、FW2人が意図的に中央に寄って相手DFを集中させ、左右のオープンスペースを広く空けておき、MF羽生、山根の第2列がスペースに飛び出すというゲームプランをもって試合に臨んだ。そして、前半12分、まさにそのプラン通りボランチの吉村から、右サイドのオープンスペースへタイミングよく走り出した羽生へ見事なロングパスが通り、羽生がゴール左隅へ冷静にシュートを決め、日本が先手を取り主導権を握った。
 後半に入ると、ウクライナは日本のプレッシングに対してワンタッチでの素早いパス回しから、徐々にペースを握り、日本ゴール前に激しく攻め込んできた。しかし、GK高原、CB小林、坪井がピンチにも落ち着いて対処し、最後まで集中力の高い組織力で、相手にスキを与えなかった。決勝トーナメントに入ってから苦しい試合が続いたが、鉄壁の守備力と一瞬のチャンスをものにする勝負強さ、そして、試合前のゲームプランを忠実に実行する理解力等、1年半かけて強化してきた成果を全て出し尽くし、東アジア大会での優勝も含め最高の結果を残してきた。この大学選抜チームは1995年の福岡大会以来2度目の“世界王者”となり、大会は幕を閉じた。
文責・乾 真寛(全日本大学選抜コーチ)

予選リーグ結果詳細

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