関東大学リーグ2000 キャプテンインタビュー
College Soccer Central


東京農業大学

金子憲一 (1)



――ここ数試合は怪我のために欠場していましたが怪我の具合はいかがですか? どこを怪我したんでしょう。

 内側の半月板と側副靱帯の両方を痛めちゃいまして。

――それは練習中の怪我ですか。それとも古傷?

 高校3年生の、最後の選手権に出たときに靱帯をやっちゃったんです。それは治ってたはずなんですけど、夏からの疲れや負荷がかかってたのかな。今年はいろんなことが、いっぱいあったんで……。

――今年は監督も変わって、ある意味では大変な時期にキャプテンを引き受けたことになりますが……。

 でも、キャプテンになったときにはまさか本当に監督が変わるとは思ってなかったんですけどね(笑)。

――キャプテンは推薦ですか? それとも立候補?

 推薦もあったけど、自分でやらなきゃだめかなっていうのがありまして。それに、入れ替え戦で負けたとき、去年のキャプテン(岡村庄太・現藤枝市役所)がキャプテンマークをくれたんですよ。そういうのもあって、自分がもっと前に出てやんなきゃなっていうのはすごく感じてました。
 でも今年の4年生はみんな役割がはっきりしてるし、すごく仕事をしてくれるんです。だから自分はグラウンドの中でまとめていくだけでいいんで、本当に助かってます。

――キャプテンとして、試合中に心がけていることはありますか? 去年もそうでしたが、このチームはとても若いので、気をつけることも多いと思うんですが。

 そうですね。だから、なるべく後ろから声を出すようにはしています。やっぱり、去年よりもずっとムードが悪くなるような場面があるんでね。どんどん声を出して怒ってはいるんですけど、なかなか難しい。全員がその気にならないとダメだし……。

――監督が山下前監督から梶野監督に変わるという状況の中で、キャプテンとしてどうチームをまとめていこうと思ったんでしょう。

 とりあえず去年出ていたメンツも若いんで、今年も4年生がひっぱろうと。ウチはみんなおとなしいほうなんで、練習のときからの雰囲気作りには気を遣いました。

――それは、モチベーション作りや集中力ということですか?

 はい。正直いって、下のヤツらも監督が変わって気が緩んだ部分もあったと思うんですよ。山下監督のときの厳しさは、ある意味ではチームの規律となってましたし。その辺でひきしまっていた部分もあったと思うんだけど、今年はちょっとあやふやなところがあったんで……。そのあたりの雰囲気作りが大変でしたね。
金子2000年関東リーグ
2000年関東大学サッカーリーグ

東京農業大学
 金子憲一選手(4年・主将)

ある意味、東農大は不思議なチームだ。ここ数年は「都県リーグとの入替戦」か「1部チームとの入替戦」に出るという、両極端な成績であることが多い。一昨年は都県代表チームとの死闘を演じて関東リーグに残留したかと思えば、昨年は圧倒的な勢いで2部優勝――。そして今年のリーグでは一転、自分たちのサッカーを見いだせずに苦しみ続けた。一時は都県リーグとの入替戦も見えてくるという状況の中で、チームを踏みとどまらせたのはどんなことだったのか。めまぐるしい4年間を経て、主将の金子がチームに見出したのは……?
Text&Photo:Reiko Iijima
2000年10月18日取材

金子1999年関東大学リーグ
1999年関東大学サッカーリーグ


メンバーが残っていても
維持することが大変だし
甘えが出る部分もある


――レギュラーメンバーを考えると、中盤は全員変わらないしDFも3人のうち2人が残ってますよね。

 ただ、メンバーが残っているとはいっても、それを維持することのほうが大変だし、甘えが出ちゃう部分もあるんですよね、春のあたりは、特にその辺が苦しかった。

――夏に山下前監督がテクニカルアドバイザーとして戻られて、システムも春の4バックから去年と同じ3バックになりました。すべてが同じというわけではないですけど、去年と同じような状態でリーグに挑むことになったと思うんですが……。

 リーグ戦までには、なんとかチームとしての形っていうのができてきたんですけど、やっぱり急造的なところがあって……。春から1年間通してリーグ戦に向けてやってきたわけじゃないんで、その辺で少しもたついた部分がありますね。チームとしてもまだ完成しているわけではないし。

――やはりチームとしての完成度が、去年とは違うということですか?

 夏ごろからチームをもう一度やり直そうっていうことになったんです。去年に戻すっていうか、やり方自体は変わってないんで……。ただやっぱり、ちょっと時間がなかったなっていうのが正直なところです。
 気持ちの面でも去年のほうが余裕があったんですよ。点を取られても点を取れる。前にはすごく頼りになるFWが2人(酒井良・現湘南ベルマーレ、宮本績)いましたしね。その面では、まわりのヤツらも動きやすかったと思うし……。ただ、今年はそういう選手がいない分、みんなでやらなきゃいけないっていうのはあります。

――やっていることは去年と同じでも、ちょっとしたところでミスや失点があって、それが今年のリーグで「勝ちきれない」理由なのかな、とも思いますが。

 去年は、私生活の面でも決まりごとがあったんです。私生活がしっかりしている分、それがグラウンドにも出るっていうことでやってきた。でも今年は試合に出ていたヤツがたるんでしまって、メンタルの弱さが試合に出ているところはありますね。メンタル面も含めて、去年に近いサッカーができたのは日大に勝った試合しかないですよ。あとは全部、試合中にポツンポツンと中だるみっていうか、ボーっとしてしまう部分があるんで。

――日大戦のときも、後半に入ってからは全員のコミュニケーションがキチンとれていましたが、最初はポンポンと失点してしまいましたね。

 どうしても失点が多いんで、そこが課題かなとは思うんですけど。自分が出ていないことで、チームに迷惑をかけている部分もありますし……。

[次のページへ▼]
College Soccer Central